戦国・韓
韓非子の名言・逸話30選
「矛盾」を説いた、法の思想家。得意な話は「仕組みとルールで人を動かす」。
「法は貴に阿らず」
韓非子の逸話と名言
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1吃音の書き手
韓の公子だった韓非は吃音で弁舌は苦手だったが、文章を書かせれば並ぶ者がなかった。君主に説く難しさを論じた「説難」を著した。
「凡そ説の難きは、説く所の心を知りて、吾が説を以て之に当つべきに在り」
伝える難しさは、相手の心をつかむことにある
出典:史記・老子韓非列伝
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2秦王の嘆息
秦王政(のちの始皇帝)は韓非の「孤憤」「五蠹」を読み、この著者と交われるなら死んでもよいと嘆じた。
「嗟乎、寡人此の人を見て之と游ぶを得ば、死すとも恨みず」
文章は、会ったことのない人の心も動かす
出典:史記・老子韓非列伝
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3同門の讒言
秦に招かれた韓非は、かつて同じ師に学んだ李斯に危険視され、讒言されて獄中で毒を飲まされた。司馬遷はその最期を惜しんだ。
「余独り韓子の説難を為りて自ら脱るる能わざるを悲しむ」
理屈が分かっていても、身を守れるとは限らない
出典:史記・老子韓非列伝
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4矛盾
楚の商人が「どんな盾も突き通す矛」と「どんな矛も防ぐ盾」を同時に売っていた。客に「その矛でその盾を突いたら?」と問われ、答えられなかった。
「陥すべからざるの盾と、陥さざる無きの矛とは、世を同じくして立つべからず」
両立しない主張は、同時には通らない
出典:韓非子・難一
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5株を守る
宋の農夫は、切り株にぶつかって死んだ兎を拾ってから、畑仕事をやめて切り株の番をした。兎は二度と来ず、国中の笑い者になった。
「株を守りて兎を待つ」
一度の幸運を、仕組みと思い込まない
出典:韓非子・五蠹
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6世異なれば事異なる
韓非は、昔の聖王のやり方を今にそのまま当てはめるのは、切り株を見張る農夫と同じだと論じた。
「世異なれば則ち事異なる」
時代が変われば、やり方も変える
出典:韓非子・五蠹
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7逆鱗
龍は手なずければ背に乗れるほど大人しいが、喉元に一枚だけ逆さの鱗があり、触れれば必ず人を殺す。君主にもそれがあると韓非は説いた。
「人主も亦逆鱗有り」
誰にでも、触れてはならない一点がある
出典:韓非子・説難
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8和氏の璧
和氏は宝玉の原石を二代の王に献じたが、ただの石だとされて両足を切られた。三代目の王が磨かせると、天下の名玉が現れた。
「宝玉にして之に題するに石を以てするを悲しむ」
本物が、本物と認められない悲しみ
出典:韓非子・和氏
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9寸法を取りに帰る
鄭の男が靴を買いに行ったが、足の寸法を書いた紙を忘れて取りに帰った。足で試せばと言われ、自分の足より寸法を信じると答えた。
「寧ろ度を信ずるも、自ら信ずる無し」
データより目の前の現実を見る
出典:韓非子・外儲説左上
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10子を智とし隣を疑う
雨で塀が崩れ、息子も隣の老人も「泥棒に気をつけて」と言った。本当に盗まれると、家の主人は息子を賢いと褒め、隣人を疑った。
「其の子を甚だ智とし、隣人の父を疑う」
同じ言葉でも、誰が言うかで受け取られ方が変わる
出典:韓非子・説難
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11余桃の罪
寵愛された弥子瑕が食べかけの桃を王に勧めると、王は「私を思ってのことだ」と喜んだ。寵愛が冷めると、同じことが罪とされた。
「行い未だ初めに変ぜざるに、前に賢とせられて後に罪を獲る者は、愛憎の変なり」
評価は行いより、相手の気持ちで変わる
出典:韓非子・説難
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12胡を討つ
鄭の武公は胡を攻めるつもりで娘を嫁がせ、「胡を攻めよ」と進言した臣を殺した。安心した胡は備えを解き、鄭に攻め取られた。
「知の難きに非ず、知に処することの難きなり」
知ることより、知ったことの扱い方が難しい
出典:韓非子・説難
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13扁鵲と蔡の桓公
名医扁鵲は、病が皮膚にあるうちに治せと何度も告げたが、桓公は聞かなかった。病が骨髄に入ったとき、もう手遅れだった。
「良医の病を治むるや、之を腠理に攻む」
問題は、小さいうちに手を打つ
出典:韓非子・喩老
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14蟻の穴
韓非は、千丈の堤も蟻の穴から崩れ、百尺の家も煙突の隙間からの火で焼けると説いた。
「千丈の堤も、螻蟻の穴を以て潰ゆ」
大きな崩壊は、小さな綻びから始まる
出典:韓非子・喩老
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15象牙の箸
殷の紂王が象牙の箸を作らせると、賢臣の箕子は恐れた。箸に合わせて器も料理も宮殿も贅沢になると見抜いたのだ。
「小を見るを明と曰う」
小さな兆しから、先を見通す
出典:韓非子・喩老
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16猛犬と酸い酒
酒は旨いのに売れない酒屋があった。店の猛犬が客に吠えかかるからだった。君主の側の悪臣も同じだと韓非は説いた。
「狗猛ければ則ち酒酸し」
良い組織も、門番が悪ければ人が来ない
出典:韓非子・外儲説右上
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17南郭処士
斉の宣王は三百人で笛を合奏させ、吹けない南郭処士も紛れていた。次の王が一人ずつ聴くことにすると、彼は逃げ出した。
「一たび聴けば則ち愚智分かれず」
まとめて見ていると、実力は分からない
出典:韓非子・内儲説上
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18曾子、豚を殺す
曾子の妻が、泣く子を「帰ったら豚を殺してあげる」となだめた。帰宅後に冗談だと言う妻を止め、曾子は本当に豚を殺した。
「母、子を欺けば、子而ち其の母を信ぜず」
小さな約束を守ることが、信頼の土台
出典:韓非子・外儲説左上
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19二つの柄
韓非は、君主が臣下を動かす道具は賞と罰の二つだけだと説き、これを人に渡せば権力を失うと警告した。
「明主の其の臣を導制する所の者は、二柄のみ」
評価の権限は、手放してはならない
出典:韓非子・二柄
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20怒る蛙に礼をする
越王勾践は、腹をふくらませて怒る蛙にも車上から礼をした。それを見た人々は、命がけで勇気を示す者を王が重んじると知った。
「賞誉厚くして信なる者は、下、死を軽んず」
何を評価するかを示せば、人はそれに応える
出典:韓非子・内儲説上
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21老馬の智
遠征の帰りに道に迷った管仲は、老いた馬を放ってその後をついて行き、道を見つけた。
「聖人の智を以てすら、老馬と蟻とを師とするを難しとせず」
知らないことは、誰からでも学べばよい
出典:韓非子・説林上
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22三人市虎を成す
龐恭は魏王に、市場に虎が出たと一人が言えば信じないが、三人が言えば信じてしまうと説き、讒言に気をつけるよう頼んだ。
「三人言いて虎を成す」
何度も聞くと、嘘も本当に聞こえる
出典:韓非子・内儲説上
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23細い腰
楚の霊王が細い腰を好むと、家臣たちは食事を減らし、国中に飢える者が出た。
「君其の欲する所を見すこと無かれ」
上の好みは、下を思わぬ方向へ動かす
出典:韓非子・二柄/主道
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24紫の服
斉の桓公が紫の服を好むと、国中が紫を着て値段が高騰した。管仲の助言で、王が紫を嫌う素振りを見せると、三日で流行は止んだ。
「君何ぞ試みに紫を衣ること勿からんや」
まずは上が率先して変わる
出典:韓非子・外儲説左上
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25箱を買い真珠を返す
楚の商人が真珠を豪華な箱に入れて売ると、鄭の客は箱だけ買って真珠を返した。
「櫝を買いて其の珠を還す」
飾りに目を奪われ、本当の価値を見逃さない
出典:韓非子・外儲説左上
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26鬼は描きやすい
斉王に何を描くのが難しいかと問われた画家は、犬や馬が難しく、鬼は易しいと答えた。誰も見たことがないからだった。
「犬馬最も難く、鬼魅最も易し」
確かめられないものを語るのは易しい
出典:韓非子・外儲説左上
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27法は貴に阿らず
韓非は、法は身分の高い者にへつらわず、墨縄は曲がった木に合わせて曲がらないと説いた。
「法は貴に阿らず、縄は曲に撓まず」
ルールは誰にでも同じように
出典:韓非子・有度
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28原を攻める
晋の文公は三日分の食糧で原を攻め、落ちそうだったが約束通り撤退した。その信義を聞いた原の人々は自ら降伏した。
「信は国の宝なり」
約束を守ることが、最大の武器になる
出典:韓非子・外儲説左上
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29管仲の遺言
死の床で管仲は、桓公に取り入る三人の近臣を遠ざけるよう諫めた。桓公は従わず、死後その三人の争いで遺体が放置された。
「忠臣に聴かずして独り其の意を行う」
耳の痛い忠告を退けると、取り返しがつかない
出典:韓非子・十過
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30上君は人の智を尽くす
韓非は、凡庸な君主は自分の力を使い切り、中程度の君主は人の力を、優れた君主は人の知恵を使い切ると説いた。
「下君は己の能を尽くし、中君は人の力を尽くし、上君は人の智を尽くす」
一人で抱えず、人の知恵を生かす
出典:韓非子・八経
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